企業において起こってはならない労働災害。労働災害は、企業の社会的信用を大きく損なったり、企業が被災した従業員への損害賠償責任を負うだけでなく、時には企業の責任者個人にまで刑事責任が及ぶことがあります。以下に、実際に刑事責任が問われた労働災害の代表的な事例をご紹介します。
事例①:建設現場での重量物落下事故(東京都・2014年)
概要:三鷹労働基準監督署は,建設工事業者及び同社の工事部主任を,労働安全衛生法違反の容疑で,平成27年3月4日,東京地方検察庁立川支部に書類送検した。
2014年10月7日,東京都西東京市内の宅地造成工事現場において,工事部主任が,現場入り口の通路に敷設するため,重量約800キログラムの鉄板をドラグ・ショベルでつり上げた際,当該鉄板が落下し,約2メートル離れた場所にいた作業員が当該鉄板と掘削溝及び地面との間にはさまれ約2時間後に死亡。
捜査の結果,工事部主任は,ドラグ・ショベルで荷のつり上げをしてはならないことが法令で定められていることを知りながら,そのバケットにワイヤロープを固定せずにかけた状態で鉄板のつり上げ作業を行っていたことが判明した。(東京都労働局 送検事例 平成26年度 | 東京労働局 から引用)
違反内容:重機による吊り上げ作業の禁止規定に違反、安全装置不備・作業指示ミス。
刑事責任:工事主任(現場責任者)が労働安全衛生法違反により書類送検。管理者としての安全配慮義務違反が問われた。
事例②:フォークリフトによる作業員死亡事故(滋賀県・2022年)
概要:リサイクル工場内で、74歳の作業員がフォークリフトにひかれて死亡。
違反内容:フォークリフトが稼働する区域に作業員が立ち入れる状態であったため、事故を防ぐ措置(立入禁止措置や誘導員配置など)が不十分だった。
刑事責任:京都府八幡市のリサイクル会社と、滋賀県湖南市の同社滋賀営業所の所長を書類送検。企業とともに労働安全衛生法違反が適用された。
労働安全衛生法第21条
1、事業者は、掘削、採石、荷役、伐木等の業務における作業方法から生ずる危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
2、事業者は、労働者が墜落するおそれのある場所、土砂等が崩壊するおそれのある場所等に係る危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。
事例③:外国人技能実習生の過労死(広島県・2008年)
概要:
中国人技能実習生が月150時間を超える残業の末に死亡(虚血性心疾患)。過労死として労災認定。弁護士が地元警察に要請して行われた行政解剖で「虚血性心疾息」と判明した。
同技能実習生は、月間残業150時間、休みは月に2日程度に抑えられ、また20時間超過部分の残業代は時給約400円にカットされていた。¥弁護士が地元警察に要請して行われた行政解剖で「虚血性心疾息」と判明した。
違反内容:
長時間労働を強制し、労働時間・健康管理を怠った。
刑事責任:
受け入れ企業および協同組合が労働基準法違反で略式起訴・罰金刑。経営陣も関与。
【ポイント】企業の「人」も裁かれる時代
これらの事例に共通するのは、安全配慮義務の欠如と、現場責任者や経営者自身が刑事責任を問われている点です。
- 安全管理の不備 → 業務上過失致死・労安法違反
- 労働時間の過重 → 労働基準法違反・過労死認定
- 報告義務違反 → 労災隠しとして検挙されることも
【中小企業経営者の皆さまへ】
中小企業では「人手不足」や「忙しさ」を理由に、安全管理が後回しにされがちです。しかし、万が一の事故が起きたとき、企業だけでなく経営者や現場責任者個人が刑事責任を問われる可能性があります。
まずは現場点検と安全ルールの整備・運用を徹底しましょう。
スマイル経営サポートでは、皆様の会社のルール作りから丁寧にお手伝いいたします。
📍スマイル経営サポートのBCP作成支援事例
2023年 神奈川県 製造業
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全国でセミナー運営を行う同社では、東京本部が大規模災害で被災した際に備え、BCPを構築していました。一般的なBCPでは、優先すべき対象は設備・通信網・社員との連絡などが多く挙げられますが、このケースでは「外部講師との連絡手段」を最優先とした点が特徴的でした。スマイル経営サポートは、既存のBCPを確認したうえで改善点をコメントし、さらにスマートフォンやインターネット電話を活用した通信手段の確保方法、事前に準備すべき機器や備品の導入を推奨しました。
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